トイレの便器を見たときに、便器にたまっている水の高さがいつもより高いと感じたり下がっていると感じたりすることがあるかも知れません。実はトイレの水には適正な水位というものがあり、それよりも高かったり低かったりする場合は大きなトラブルに発展してしまう可能性もあります。本記事では、トイレの水位について適正な高さや変化の原因を紹介しつつ、対処法も詳しく解説していきます。
1.トイレの適正な水位とは
一般的な洋式のトイレは、便座の下にある中央の部分がくぼんでいます。適正な水位の目安は、そこが水でちょうど満たされる程度の高さです。気圧の変化などの影響を受けるため、少しぐらい上回っていても問題はありません。しかし、便器の半分以上にまで及んでいるなら、明らかに水位が高いため、異常と判断できます。一方、くぼみの部分が露出しているケースも正常とはいえません。適正な水位の場合、その奥にある排水管への穴もしっかりと水で覆われています。むき出しになっている場合は、明らかに水位が低いため、できるだけ早い段階で原因の特定や対処が必要です。
2.トイレの水位が高い原因
トイレの水位が高くなってしまう原因は、さまざまです。どのようなパターンがあるのか知っておくと、実際に起こった場合に対処の方針を検討しやすくなるでしょう。ここでは、代表的な原因を2つ紹介します。
2-1.トイレのつまり
トイレの排水管が、つまり気味になっている場合は、水位が高くなりやすいでしょう。なぜなら、流れが悪くなった分だけ、水が便器内にとどまるようになるからです。この現象は、例えば一度に大量のトイレットペーパーを流した際などに起こりやすくなります。便を流すときに「小」を選択した場合も、水量不足で発生するリスクが高まるため、注意しましょう。また、便器内に落としたスマホやアクセサリーなどの異物が奥で引っかかり、それが原因でつまってしまうケースも見受けられます。
流したときに水位が上がっても、しばらく待つと下がる場合は、水の流れる隙間が残っていると可能性があります。一方で、時間が経過しても変化がない場合は、完全につまった状況といえるでしょう。
2-2.集合住宅の排水管つまり
集合住宅で暮らしている場合、必ずしも自分が原因をつくっているとは限りません。なぜなら、マンションやアパートの各住戸の排水管はつながっており、それらがつまることも原因となるからです。例えば、階下に住んでいる人が基幹の排水管をつまらせると、自分が流す水も流れにくくなってしまいます。その結果、水位が高くなることもあるため、自分のトイレばかり点検しても解決できない可能性があるのです。そのため、つまらせるような行動をしておらず、原因に心当たりがない場合は、他の住戸の影響も視野に入れなければなりません。
3.トイレの水位が低い原因
トイレや排水管のつまりが水位の上昇を招くことはイメージできても、低下はなぜ起こるのか見当がつかない人もいるのではないでしょうか。ここでは、トイレの水位が低くなる主な4つのパターンを紹介します。
3-1.トイレのつまり
トイレのつまりによって起こるトラブルは、水位が高くなることだけではありません。つまった物体の種類によっては、水位の低下という正反対の現象を引き起こすこともあるため、注意が必要です。例えば、大量のトイレットペーパーや便などがつまった状態で水を多く吸収すると水位を下げることがあります。特に、リスクが高いのは、紙おむつや生理用品といった吸水性の高いものです。水を大量に含んで大きく膨れ上がるため、水の経路を完全にふさぎやすくなります。
また、スマホや化粧品といった吸水性の高くないものも原因になります。なぜなら、これらの異物が水の経路にとどまり続けると、便器内の水位が不安定になりやすいからです。さらに、トイレットペーパーや便などが異物に引っかかり、その蓄積でつまるリスクが高まる点にも気を付けなければなりません。
3-2.便器の破損
もし、トイレがつまっていないなら、便器自体に問題がある可能性もあるでしょう。具体的には、便器の破損によって水漏れが起こっているケースです。一般的に、トイレは陶器製のため、衝撃や熱湯などの高温に強くありません。そのため、使い方を誤ってしまうと、ひびが入ったり壊れたりするリスクが大きくなってしまいます。その状態で、水漏れが生じると便器内に水がたまりにくくなるため、必然的に水位の低下を招きやすい傾向です。なお、便器の破損が発覚した場合は、補修をしても弱くなった部分から再び漏れる可能性があるため、便器の交換を検討することも必要になります。
3-3.誘引現象・蒸発現象
誘引現象は、トイレの水位を下げる原因の一つです。誘引現象とは、別のトイレの使用によって誘発される現象のことで、2階建て以上の一戸建てや集合住宅などで見られます。上階で水を流すと、共用の排水管の気圧が変化し、階下の便器の水も管内に引き寄せられやすくなる現象です。同じタイミングで大量に流されると、その影響を強く受けて水位が低下することもありえます。
また、蒸発現象も水位の低下につながる原因の一つです。蒸発現象とは、その名の通り便器にたまっている水分が蒸発して水位が下がってしまうことを指します。乾燥している時期や長い期間トイレを使用していないと起こりやすい傾向です。
3-4.タンクからの流水量が低下
タンクが付いているトイレの場合、流水量が減ることも原因となります。つまり、「そもそも水が十分に供給されていない」というパターンです。タンクの内側には、浮き球やバルブといった多くのパーツがあり、それらを連携させて水を流しています。パーツが破損するなどのトラブルが起こっていると、流水量の調節が適切に行えません。水の供給不足が十分できず、常に水位が低下している状況になるのです。
4.トイレを適正な水位にするためのつまり対処法
水位が高いケースと低いケースのいずれにせよ、トイレに異変が見られたときは、迅速な対処が重要です。ここでは、水位を適正に戻すための方法を3つ解説します。
4-1.水やお湯で流す
トイレットペーパーのように水に溶けやすいものがつまっている場合、水やお湯を流すことで解消できる可能性があります。具体的には、水圧を加えながら溶かしつつ、配管の奥に押し込んでいく方法です。最初に便器内の汚水をなるべく排除しておき、そこに水を勢いよく一気に流し込みます。それでも改善しなければ、40~60度のお湯を使って同様の作業を行いましょう。1時間ほど放置してからチェックし、水位が元に戻っていれば解決です。なお、便器が傷むリスクを踏まえて、熱湯の使用は避けましょう。
4-2.ラバーカップを使う
「スッポン」という俗称で知られるラバーカップは、つまりの解消に役立つアイテムです。水や、お湯で押し込んでも状況が変わらない場合、ラバ―カップを使う方法を試してみましょう。特に、効果を期待できるのは、トイレットペーパーや排せつ物など軽度のつまりのときです。まず、排水管につながる穴全体を覆うように、ラバーカップの先端をゆっくりと押し当てます。次に、ラバーカップの持ち手を勢いよく手前に引きましょう。これを繰り返すことで、最終的に異物を便器内に引っ張り出せる可能性があります。
4-3.ゴム手袋をはめて直接つまりの原因を取り出す
ラバーカップだけなく、真空式パイプクリーナーをはじめとして、つまりを解消するための道具は他にもあります。しかし、それらを使用してもつまりを除去できるとは限りません。引っ張り出せる兆候が見られない場合は、ゴム手袋を装着したうえで直接アプローチすることも一つの手です。つまっている異物がスマホやアクセサリーといった水に溶けない固形物なら、特に高い効果が期待できます。なお、ゴム手袋を用意できない場合は、数枚のビニール袋を重ねて手袋にすると良いでしょう。
5.トイレの水位の異変は放置せず速やかに対処しよう!
トイレの水位が正常でないと気付いたら放置してはいけません。水位が高い場合も低い場合も、速やかに対処して異変を解消することが大切です。とはいえ、自力で何とかしたくても、スキルや道具などの不足により難しいケースも少なくありません。悪化させてしまうリスクもあるため、改善できないと感じた場合は、無理をせずに専門業者に連絡しましょう。